【瀬戸内寂聴の恋愛観と名言】 不倫・駆け落ち・三角関係ドロドロの愛憎劇人生
小説家で尼僧の瀬戸内寂聴さんの作品は、自らの激しい恋愛経験をそのまま小説にしているということもあり、他の恋愛小説にはないリアリズムで読む者を圧倒します。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、瀬戸内作品は「奇なる事実に基づいているため、小説もまた読み物の枠を超えた真実となっている」と言えるでしょう。
この記事では、不倫・駆け落ち・三角関係と、ドロドロの愛憎劇を経験した作家・瀬戸内寂聴氏の作品から、氏が考える恋愛とは何か? をまとめています。
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目次
瀬戸内寂聴氏のプロフィール
- 瀬戸内寂聴
- 1922年5月15日生まれ
- 小説家、天台宗の尼僧。僧位は権大僧正。
- 2006年文化勲章受賞。比叡山延暦寺禅光坊住職。元敦賀短期大学学長。
- 新潮同人雑誌賞受賞の後、作家デビュー。女流文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞。代表作には『夏の終り』や『花に問え』『場所』など
壮絶な恋愛遍歴を『夏の終り』から読み解く
前述の通り、瀬戸内氏自身の激しい恋愛遍歴はよく知られるところ。
その内容は、のちに何度か映像化された小説『夏の終わり』に詳しく記載されています。
妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子…彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。
新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。著者の原点となった私小説集である。(参考:Amazon)
最初はお見合い結婚
瀬戸内寂聴さんは1943年、21歳で見合い結婚。
この時、東京女子大学に在籍中でした。
お相手は、中国古代音楽史を研究する学者(映画では小市慢太郎さんが演じる)。
結婚後、夫妻は北京に居を構え、長女を出産しています。
なお、自身をモデルとした『夏の終り(2013年公開)』のヒロイン相澤知子は満島ひかりさんが演じています。
夫の教え子と不倫
敗戦で1946年に家族とともに帰国した瀬戸内氏は、年下の夫の教え子(映画では綾野剛さん)と不倫関係になります。
そして、自分の罪の意識に耐えられなくなり、自ら夫に不倫していることを告白。
当然ですが夫は激昂。
瀬戸内さんを連れ、当時住んでいた大阪から東京へ引っ越しました。
不倫相手である教え子と引き離したのです。
ですが、その別離が却って不倫相手への恋慕を燃え上がらせることに……。
結果として、瀬戸内さんは3歳の娘を捨て、不倫相手と共に京都へ駆け落ちしてしまいます。
この頃、出版社に勤務の傍ら、小説を書き始め福田恆存などの評論家へ送付するようになっていたようです。
離婚、そして同人作家との恋愛と不倫
1950年に夫との離婚が成立。
本名で本格的に小説を書き始め、少女雑誌などを中心に掲載するようになります。
この頃、妻子ある作家小田仁二郎(映画では小林薫さん)との不倫関係が始まります。
別れた愛人との関係が復活。ドロドロの三角関係へ
その後、離婚の原因となったかつての恋人と再会。
妻子持ちの小説家との不倫と並行した三角関係を継続することに……。
瀬戸内寂聴氏のその後と現在
その後、作家の男性とも、夫の教え子とも関係は終わりを迎えます。
小説家として活動を続けると共に、修道女になることを目指していた瀬戸内さんですが、多くの教会や寺院からは「娘を捨て、不倫していたから」という理由で拒絶されていました。
1973年の当時51歳、作家として認められ人気絶頂の時期に、ようやく天台宗・中尊寺の今春聴大僧正の元で出家をすることになります。
出家後、絶縁状態だった娘とは長い年月をかけて和解。
出家した理由についてはっきりと明言されていませんが、自身の泥沼の恋愛のために手放してしまった子供に対する罪の意識、というものが根底にあるのではないでしょうか。
2019年現在97歳と高齢ですが、現在も尼僧として、小説家として、活躍しています。
瀬戸内寂聴氏の恋愛観が垣間見える名言集
正に、小説以上に激しい恋愛経験をした瀬戸内氏は、様々な場所で自身の恋愛観を語っています。
そのうちのいくつかをご紹介します。
恋愛について
不倫について
恋愛というものは理屈じゃないんですから。急に雷が落ちてくるようなものなのです。
それに当たっちゃったら、もうどうしようもないじゃない。
相手に奥さんがいても、それでも好きっていうのは抑えられない。でもね、奥さんを追い出して、自分がそこに収まろうなんて思うのはずうずうしい。
他人の不幸の上には、決して自分の幸せは成り立たないものなのです。
どの出逢いが本当の出逢いなのか、経験してみなければわかりません。
別れについて
別れるために逢うんです。だから逢った人が大切なのです。
愛する者の死と真向きになったとき、人は初めてその人への愛の深さに気づきます。
「私の命と取り替えてください」と祈る時の、その純粋な愛の高まりこそ、この世で最も尊いものでしょう。
別れの辛さに馴れることは決してありません。
幾度繰り返しても、別れは辛く苦しいものです。
それでも、私たちは死ぬまで人を愛さずにはいられません。
それが人間なのです。
おすすめの映画と書籍
この記事で瀬戸内氏をご紹介するにあたり、参考にさせていただいた作品のなかから、おすすめの映画と書籍を数点ご紹介します。
1. 映画『夏の終り』
2013年公開、主演は満島ひかりさん、綾野剛さん、小林薫さん。
個人的には、満島ひかりさんの演技に感動しました。
2. 書籍『おちゃめに100歳! 寂聴さん』
秘書を勤めていた瀬尾まなほさんのエッセイ。その年齢差はなんと66歳。
瀬戸内さんの「意外な素顔」や「愛あふれる本音」が綴られています。
3. 書籍『花芯』
出家前の「瀬戸内晴美」時代の傑作5編を収録。
発表当時は批判を浴び、長く文壇的沈黙を余儀なくされましたが、現代にも通じる普遍性を持った作品として今も多くの女性から支持されています。
おわりに
瀬戸内寂聴さんの波乱万丈な恋愛遍歴をご紹介しました。
不倫を公表したことや、過去の恋愛遍歴を理由に、瀬戸内氏に対して否定的な意見も少なくないですが、常識や固定観念に縛られがちなこの現代……。
ことの善し悪しは大切ですが、理屈ではどうにもならない人間ゆえの生き様……というものを、多くの作品を通じて垣間見た気がしています。
だからこそ瀬戸内氏は、今もなお多くの人々を魅了する説法ができるのかもしれません。
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