共働き夫婦の離婚理由とは。養育費・慰謝料・財産分与はどうなる?
共働き夫婦の離婚率が高いと言われているのはなぜなのでしょうか? その原因を調べてみると、離婚理由には共働き夫婦ならではの家事や育児に対する悩みがありました。
ここでは、共働き夫婦に多い離婚理由や、離婚を考えたときに不安に感じる「親権」「養育費」「慰謝料」「財産分与」について詳しく解説します。
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目次
共働き夫婦の離婚率
離婚率の推移
共働き夫婦の離婚率はどのくらいなのか? なぜ共働きの離婚率が多いと言われるのか? について、厚生労働省や労働政策研究・研修機構のデータをもとに分析します。
厚生労働省が発表した「平成30年(2018)人口動態統計」の離婚率によると、2018年の離婚率は1.68。
1000人のうち約1.7人が離婚しているということになります。離婚率は2000年以降、1.5倍ほど増えていることが分かります。
また、労働政策研究・研修機構(JILPT)が発表した「専業主婦世帯と共働き世帯」の推移を見ると、共働き世帯の数は上昇し続けています。
離婚率のうち、共働き夫婦の割合がどれだけなのかは不明ですが、現在は、共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上の数ということが分かります。
そのため、離婚率のうち共働き夫婦が多いのは必然的といえるでしょう。
共働き夫婦に多い3つの離婚理由
「共働きが多い時代だからこそ、離婚率も共働き夫婦のほうが多い」ということ以外にも、共働き夫婦ならではの離婚理由があります。ここからは、共働き夫婦に多い離婚理由を3つご紹介します。
家事や育児の分担で揉める
結婚したら家事や育児を「手伝う」ことはあれ、メインは女性が担当するものと思っている男性は多いです。
しかし、現代では共働きが当たり前となっており、女性もフルタイムで働き、時間的拘束や収入も男性と同じくらいという家庭も多いです。
前時代的な「家事や育児は女の仕事だ」という考えをアップデートしなくては、夫婦間での感情のすれ違いが生じ、結婚生活は破たんしていきます。
共働き夫婦である男性は、家事や育児を「手伝う」ではなく、「夫婦で分担」しお互いが協力し合う意識を持つことが大切です。
多忙ですれ違いが生じる
お互いに仕事をしていると勤務時間や休日が合わず、すれ違いやすくなります。夫婦のコミュニケーションが減ることで、意見の食い違いや方向性のズレが生じてしまいます。
また、お互いに仕事での交友もあるため、夫婦で時間を過ごすという優先度が低くなるということも考えられます。
共働き夫婦は、休日を合わせて一緒に過ごしたり、週に2回は一緒に食事したりするなど、すれ違いを解消できるような工夫が必要です。
女性が経済的に自立している
性格や価値観の不一致などで「離婚したい」と女性が思っていても、離婚後の経済面に不安を感じて離婚に踏み切れないという女性も多いでしょう。
しかし、共働き夫婦が増えている今、女性も経済的に自立しているため、女性から男性に見切りをつけることも増えています。
経済的に自立した女性が増えたことにより、「この人と添い遂げたい」と思えない限りは、離婚するハードルも低くなっているのが原因です。
共働き夫婦が離婚したあと子供はどうなる?
共働き夫婦が離婚を決断したとき、一番気になるのは子供のことではないでしょうか。
親権はどちらが持つのか? 養育費はいくらもらえるのか? など不安に感じることについて調べてみました。
親権
子供がいる場合、どちらが親権を持つのかについても必ず決めておかなければなりません。
万が一話し合いで決まらない場合は、調停で決着をつける必要があります。
調停では「子供の生活を維持し、幸せを守る」ことを最優先に考えるため、主に子供の世話をしているほうの親に親権が認められやすい傾向にあります。
養育費
親権者の子供が20歳以下の場合は、離婚理由に問わず相手に養育費を請求することができます。共働き夫婦はお互いの収入バランスによって金額を決めていきます。
2019年、最高裁は離婚裁判などで広く使われる「養育費算定表」の改定を16年ぶりに行いました。
養育費算定表は、子供の年齢、人数、支払う側の年収、受け取る側の年収、に応じた養育費の目安が示されています。
例)子供1人(0〜14歳)親権者の年収が200万円の場合
非親権者の年収 | 養育費/月 |
200万円 | 1〜2万円 |
300万円 | 2〜4万円 |
400〜500万円 | 4〜6万円 |
600〜700万円 | 6〜8万円 |
800〜900万円 | 8〜10万円 |
1000万円 | 10〜12万円 |
共働き子なし夫婦の離婚について
共働き・子なし夫婦の離婚理由については「性格や価値観の不一致」や「子供が欲しいと思う時期のずれ」などが考えられます。
子なし夫婦は離婚時に決めるべき項目が少なく、子供のいる夫婦よりも離婚がスムーズにいく傾向があります。
離婚後の養育費の支払いや面会交流もないため、離婚後に元配偶者と会う必要もなく、すっぱりと清算できることで再出発しやすいでしょう。
子なし夫婦は、財産分与のほかに離婚理由によっては慰謝料請求することもできます。
慰謝料を請求できるケースとは
慰謝料は離婚の際に必ず請求できるものではありません。
離婚に至る原因となった有責配偶者に対して、精神的苦痛を被った配偶者が慰謝料請求することができます。
離婚する際、相手に慰謝料請求できるケースは以下のようになっています。
- 浮気や不倫などの不貞行為
- モラハラやDVなどの暴力
- 性交渉の不存在
- 正当な理由のない別居
- 生活費の支払い拒否
慰謝料請求では、離婚原因となった事実の立証のため証拠が必須となります。
例えば、不倫相手との写真や動画、DV行為の状況を捉えた動画や音声など、できるだけ多くの証拠を集めましょう。
慰謝料の金額は、「離婚理由」「婚姻期間」「子供の有無」「収入」などによって異なりますが、100〜300万円程度に落ち着くことが多いようです。
また、慰謝料請求する側がどれだけ精神的苦痛を感じたかを証明することで増額できる可能性があります。精神的苦痛からうつ病になった場合などは、病院の診断書をもらうようにしましょう。
共働き夫婦の財産分与について
離婚を決断する際、養育費や慰謝料だけでなく財産分与についてもお互いに納得のいく形で清算する必要があります。
財産分与は離婚理由に関係なく請求することができ、預貯金・家・車・家財道具・保険など夫婦共有のあらゆる財産が対象になります。
共働き夫婦の場合、お互いに稼ぎがあるため基本的に2分の1の割合となりますが、生活費の捻出割合や財産形成への貢献度を考慮した上で分割されます。
夫婦別財布の場合の財産分与
共働き夫婦の中には、お互いの収入から生活費を半々で出し合い、そのほかの収入は別々に管理している場合もあります。
この場合、お互いの預貯金は財産分与の対象外とし、預貯金以外の車や家などの不動産のみ財産分与するケースも珍しくありません。
共働き夫婦が離婚を後悔しないために
共働き夫婦は専業主婦と比べて妻にも経済力があるため、離婚に踏み切ることに対する抵抗が少ない傾向にあります。
共働きであるにもかかわらず、家事や育児への夫の協力が少ないことに不満を募らせている女性は非常に多く、女性から離婚を切り出すケースが大半のようです。
夫が自分の非に気付いた時にはもう夫婦関係の修復が困難な場合もあるため、家事や育児を妻ばかりに押し付けていないか、コミュニケーション不足になっていないか、など今一度思い返して自分の行動や言動を見直してみましょう。